戦略コンサルタントとしての3年間。 BCGで難易度の高いプロジェクトに向き合い、「もっと成長したい」「もっと価値を出したい」という思いに正面から向き合ってきた。 その濃密な時間の中で、中田さんはひとつの“気づき”を得る。 ――自分は、現場が動く瞬間をもっと見たいのかもしれない。 その想いが、生成AI SaaSとAX(AI Transformation)コンサルティングを提供するスタートアップ・Bring Outへの転身を後押しした。 今回は、中田さんの原体験、コンサル時代に気づいた自分の強み、 そして「新しいチャレンジをする」と決めた背景を聞いた。
負けず嫌いの原点
インタビュアー: まずは簡単に、自己紹介とこれまでの経歴を教えてもらえますか?
中田: 中田と申します。大学は早稲田大学の国際教養学部で、英語を使うような学部に通っていました。在学中に1年間アメリカへ留学していて、場所はオクラホマ州です。 新卒で入社したのはITコンサル企業です。新卒一期生としてそこで1年半ほど働いたあと、BCGに転職し、3年ほど戦略コンサルティングに携わりました。BCGでは、TMTと呼ばれるIT・SIer・通信などの領域や、政府系のプロジェクトを中心に担当していました。 そして今回、Bring Outに入社した、という流れです。
インタビュアー: 早稲田の国際教養学部を選んだ理由は何だったんですか?
中田: 私は長野市で生まれ育ち、外の世界を全然知りませんでした。 「若いうちに外の環境を知りたい」という気持ちから、1年間の海外留学が必修という点に魅力を感じて、早稲田大学の国際教養学部に進みました。 入学してみたら、帰国子女が7割で、授業も全部英語。発言したくても言葉が出てこなくて、すごく肩身が狭かったのを覚えています。 そんな環境に悔しさを覚えて、「日本人がほとんどいない場所に行けば、もっと伸びるはず」と思い、オクラホマへの留学を選びました。今思うとかなり無茶ですが、当時は“逃げられない環境に飛び込めば強くなる”と信じていたんです。
インタビュアー: 実際にアメリカに留学してみて、印象に残っていることは? 中田: 寮には日本人がいなくて、英語を喋らないと生活が回らなかったです。でもそのサバイバルのような環境で、できなかったことができるようになる楽しさに気づきました。 寮にはいろんな国から来た留学生がいて、一緒に授業を受けたり、遊びに行ったり、旅行したり。今でもつながっている友人もいて、本当にかけがえのない時間でした。
インタビュアー: 「できない悔しさ」に向き合い続けられる性格は、いつ形成されたものなんでしょう? 中田: 幼少期から10年間続けたクラシックバレエの影響が大きいと思います。 週6日レッスンがあり、できないことが本当に悔しくて、寝る時間を削って練習していました。先生の口癖が「つらかったら正解」「言い訳しない」といった感じで、人格が形成されるタイミングでそういう環境にいたので、“負けず嫌い”と“自分を追い込むクセ”が形成されたと思います。 今振り返ると、コンサルという険しい道を選び続けた理由は、この頃に根っこがあるんだろうなと感じます。
ITコンサルからBCGへ。現場で気づいた“正論だけでは動かない”という真実
インタビュアー: 新卒で入ったITコンサルの経験は、今にどうつながっていますか?
中田: 新卒1期生だったこともあり、研修も短く、いきなり顧客先に常駐でした。 「新卒の自分を通して会社全体の評価が決まるかもしれない」と思うと、怖くて仕方なかったです。 ただ、必死で食らいつきながら働くうちに、コンサルの仕事自体が好きになっていたんです。「考えて提案する」「より良くするための案を出す」という行為が、自分は好きなんだなと気づきました。
インタビュアー: そこからBCGに転職したのはなぜですか?
中田: ITコンサルでは、目の前のシステムや業務課題を解決するプロジェクトが多かったんです。でも、現場でどれだけ課題をつぶしても、そもそもの経営判断が間違っていたら、同じ問題が何度も再発してしまう。「これってキリがないな」と感じていました。 また、現場の課題を解くにしても、やっぱり経営・戦略の視座は必要だなと思っていたので、「若いうちにビジネスサイド・経営側の視点も鍛えたい」と考え、BCGにチャレンジしました。
インタビュアー: BCGでの3年間はどんな時間でしたか? 中田: 正直、人生で一番ハードな3年間だったかもしれません。 労働時間も、トピックの難しさも、プレッシャーも全部ハードで。短期間で全く知らない業界をキャッチアップしながら、プロフェッショナル相手にアウトプットを出す。そのプレッシャーは相当でした。 一方で、若いうちから経営者の方々と直接議論させてもらえたり、国をまたいだ大きなテーマに関われたりと、「こんな経験をこの年齢でしていいのか」と思うくらい貴重な機会も多かったです。 また、BCGは「自分に厳しく、他人に優しい人」が多い会社だと思います。自分を追い込み、成長したいと本気で思っている人が多くて、何かしら突き抜けている人がたくさんいて、人として尊敬できる方ばかりでした。
インタビュアー: 印象に残っているプロジェクトを教えてください。
中田: 特に印象に残っているのは、営業改革のプロジェクトです。 あるAIを使ったITプロダクトがあって、それ自体はとても良いものだったんですが、営業のやり方が「御用聞きスタイル」になってしまっていて、なかなか売れていなかったんです。 そこに外部から新しい経営陣が入ってきて、「この営業方法を変革したい」というテーマでBCGが入っていました。 最初は、自分なりに“論点→仮説→検証”のアプローチで進めようとしたものの、現場の営業の動きにいまいちつながりきらず、すごく悩みました。そこで、ひたすら現場の人たちに話を聞いて回ることにしました。 営業だけでなく、周辺のプリセールス部門や関連部署も含めて、「今どんな状態なんですか?」と丁寧にヒアリングしていきました。 そうして初めて、営業の周りの仕組みが機能していないことや、「この提案をされても改善するリソースがない」といった現場の本音が見えてきて。それをきっかけに、営業方法や場合によっては体制や仕組みをどう変えるべきか、マニュアルや営業設計を含めて再考していきました。 このプロジェクトを通して、「上から目線で正しいことだけ言っていても、正解にはたどり着かない」ということを痛感しましたし、同時に、自分の傾聴力や信頼を築く力が強みなのかもしれないと気づくことができました。
もう一つは、経済産業省から依頼を受けた自動車産業に関するプロジェクトです。 ブラジルの自動車市場をテーマにしたもので、3週間くらいブラジル国内を飛び回りながら、現地の工場や日系企業、政府関係者などに話を聞き、データを集めていました。 スケールも大きくて、国の政策や産業構造にも関わるテーマだったので、やりがいのある案件でした。そこで感じたのは、「日本の産業が負けてほしくない」という強い感情でした。 自分でも意外でしたが、私は“日本のために”という気持ちで仕事をする人間なんだと気づいた瞬間でもありました。
BCGから新しいチャレンジへの決断
インタビュアー: BCGでのキャリアは順調に見えます。それでも動く決断をした理由は? 中田: BCGを辞める理由はなかったんです。ただ、キャリアが積みあがってきた3年というタイミングで一度立ち止まって、自分のやりたいことベースでキャリアを考え直してみました。 さっきの営業改革のプロジェクトでもそうだったんですが、私が一番嬉しかった瞬間って、「現場の人たちが“いいね”と言ってくれて、実際に動く実感があったとき」なんですよね。
戦略コンサルは、5カ年計画を作ったり、大きな意思決定を支援したりする仕事なので、それ自体はとても重要です。ただ、実際にそれが現場でどう実装されて、社会にどんな良いことが起きているのかが見えづらい案件も少なくなくて。 私はどちらかというと、計画を立てるだけでなく、実際に物や仕組みが動くところまで見届けたいタイプなんだなと気づき、「自分のコンサルのスタイルを、もう一度考えてもいいかもしれない」と思ったのがきっかけです。 ちょうどその頃、AIを使ったコンサルティングや、データを軸にした意思決定支援にも関心が出てきていました。テクノロジーを活かして現場の変化を後押しできる仕事に挑戦したい、という思いが自分の中で強くなっていったんです。 そして、“新しいチャレンジに踏み出す”という選択肢が自然と心の中に生まれてきました。女性としてのライフプランも考えると、リスクを取って飛び込めるのは今かもしれない、という感覚も背中を押してくれました。
Bring Outとの出会い。“この人たちとならチャレンジしたい”と思えた理由
インタビュアー: Bring Outとはどう出会ったんですか?
中田: BCG時代の元同僚に、「最近こういうことで悩んでいて……」と話したら、「それならすごく合いそうな会社がある」と紹介してもらったのがBring Outでした。 そこから、経営陣や部署の皆さんと面談をさせてもらいました。
インタビュアー: 最初にBring Outに抱いた印象は? 中田: 大きく2つあります。 1つ目は、ビジネスモデル・コンセプトがすごく良いと思ったことです。 BCGにいた頃から、ChatGPTをはじめとした生成AIの活用の可能性を感じていました。ただ、便利な一方で、本来自分で考えるべき部分までAIに丸投げしてしまうと、長期的には人間が「考える力」を失っていくんじゃないか、という感覚があったんです。 一方でBring Outは、AIを単なる効率化ツールとして使うのではなく、自分の商談や対話を振り返って学び、成長するための土台として使うという思想があると感じました。 「AIを使って、自分がどう良くなるか」を真剣に考えている会社だなと。そこにすごく共感しました。 2つ目は、人がとても良かったことです。 皆さん前向きで建設的で、話していてとても気持ちが良かった。特に、今の上長でもある中村さんの言葉が忘れられません。 「もし明日この会社が潰れても、僕たちはまた同じメンバーでビジネスを作れる。」 お互いへの信頼関係と、自分たちの力への自信がないと言えない言葉だと思い、「こんな人たちと一緒に仕事ができたら絶対楽しいだろうな」と強く感じました。
インタビュアー: BCGのキャリアはすごく貴重だと思いますが、最終的にどう判断したんでしょう? 中田: もちろん、BCGのキャリアは簡単には捨てられないものだと思っていました。ここまで積み上げてきたものを手放すのは、正直怖かったです。 でも、もう一度自分の軸に立ち返ってみたときに、
自分が心から共感できるビジネスモデルであること
立ち上げ〜新フェーズにある会社でチャレンジできる希少性があること
ここまで自分とマッチしていると感じられる組織に出会える機会は多くないこと
を考えると、「今このタイミングで飛び込まない理由はないな」と思いました。
入社1ヶ月で感じた、“自分の思想がプロダクトに乗る”という手触り感
インタビュアー: Bring Outに入社して1ヶ月ほど経ちますが、具体的にどんな業務・研修に取り組んでいますか? 中田: 今は、本格的にクライアントプロジェクトに入る前の準備期間として、
プロジェクトで使うプロンプトの設計
クライアントから「こういう分析をしたい」と言われたとき、どう設計・実装するか
分析結果をどう解釈し、どう提案に落とし込むか
といった、実務にかなり近い形の研修を受けています。 業務としては、ある製造業向けプロジェクトの社内会議に少しずつ参加し始めていて、「本番だったらこう動く」ということを模擬的にやらせてもらっている段階です。 コミュニケーションはオンラインが中心ですが、皆さんが私に合わせて出社してくださることも多くて、働き方での不便さは今のところあまり感じていません。
インタビュアー: 実際に入ってみてのギャップはありましたか? 中田: 良い意味でギャップが少ないですね。「人がいい」というのは想像していた通りで、前向きなコミュニケーションができると、こんなに物事が前に進むんだ、と実感しています。 また、これまでのコンサル経験と比べても、スピード感がとても新鮮です。 「とりあえず手を動かしてやってみて、違ったらすぐに修正して進める」という感じで、トライアル開始までのリードタイムも短い。このアジャイルな進め方がすごく面白いです。 そして、何より嬉しかったのは、自分の仮説や思想がそのままプロダクトに反映されていくこと。 「こういう観点が営業行動に効くはず」 「このタグの切り方ならもっと解像度が上がる」 そういった“自分ならではの視点”が、翌週には製品に乗り、顧客の行動に影響する。 “手触り感”があって、「自分の仕事が誰かの行動を変え、成果につながる」という道筋が見えるのが本当に楽しいです。
インタビュアー: Bring Outで、これからやってみたいことはありますか?
中田: 一番は、対話データの世界をもっと広げたいということですね。 今は主に商談や会議などの「対話」が中心ですけど、将来的には電話や他のチャネルの音声も含めて、もっと多様な接点のデータを複合的に分析できたらいいなと思っています。 例えば、「ある営業の1日」を丸ごとデータとして捉えて、どんな動き方・どんな会話・どんな準備をしている人が成果を出しているのかを立体的に分析する。 そうやって、本当の意味での「スーパー営業マン」を再現できるような世界をつくれたらワクワクします。
コンサル出身のあなたへ。“迷っているなら、一度チャレンジしてみてもいい”
インタビュアー: 最後に、今まさにコンサルで働いている人や、戦略コンサルからの転職を考えている人にメッセージをお願いします。 中田: まず、私は新しいチャレンジをして本当に良かったと思っています。 コンサルにいたときよりも、よりお客さまとの距離が近くなりましたし、何よりも自分のクリエイティビティが強く求められる環境だと感じています。 コンサルの仕事は、お客さまに「こういう案が良いと思います」とお渡しして、その後どう使われているかが見えないことも多いですよね。
一方でBring Outでは、
自分が「こういう観点が大事だ」と思って設計した分析や指標が
実際のプロダクトやサービスに組み込まれて
お客さまの営業や組織の変化につながっていく
という流れを間近で見ることができます。 自分の思想や仮説が、製品や仕組みに直接埋め込まれていく感覚は、想像以上にインパクトがあって、すごく楽しいです。 迷っている方には、「一回飛び込んでみてもいいんじゃない?」と言いたいですね。コンサルの特性上、もう一度戻るという選択肢もあるので(笑)、興味があるなら一度チャレンジしてみる価値は大きいと思います。
プロフィール 中田涼音
早稲田大学国際教養学部卒業後、DirbatoでITコンサルタントとしてキャリアを開始。ボストンコンサルティンググループでは国内外のB2B IT・通信・公共領域を中心に支援し、2024年にシニアアソシエイトに昇進。その後、Bring Outに参画。
ブリングアウトに興味を持ってくださった方へ
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【採用責任者コメント】 中田さんの強さは、「正しさ」だけで世界は動かないと腹落ちした上で、現場の声を拾い切り、信頼を積み上げて実装に落とし込めるところです。BCGで鍛えた思考の鋭さに、傾聴と巻き込みの粘りが重なっている。だからこそ、分析設計やプロンプト設計といった“手段”を、顧客の行動変容という“目的”に一直線につなげられます。ブリングアウトは、こうしたプロフェッショナリズムがプロダクトに乗り、翌週には現場の変化として返ってくる場所です。彼女の言う「手触り感」こそ、私たちのカルチャーそのものです。

